Young Perceptionists’ Seminar 2022
2022年8月20日、21日にオンラインで開催された「Young Perceptionists’ Seminar 2022」において、アバタを活用したカジュアルカウンセリングの可能性を発表しました。
概要
概要: ⼈々の⽇常⽣活にアバタが普及してきている。⼀部のメンタルヘルス領域においても、アバタを活⽤する取り組みが始まり、メンタルヘルスの保持増進に寄与することが期待されている。筆者はこれまで、アバタを⽤いたメンタルヘルス⽀援の可能性について検討してきた。その中で、公認⼼理師や臨床⼼理⼠による専⾨的なカウンセリングに対して、アバタによる悩み相談を“カジュアルカウンセリング”としている。バーチャルリアリティやスマートフォンのアプリケーションを活⽤したカジュアルカウンセリングは、⼈々が時間的・物理的制約から解放されるという利点がある。そのため、将来的にはユーザが時間や場所、費⽤などを気にすることなく、アバタに対して悩みを打ち明ける機会が増えていくと予想される。⼀⽅で、アバタの外観や対話技術の検討など、システムの実装には課題が多い。本発表では、⼀連のアバタ研究および検討点について述べる。
著者: 川北 輝
下記のご意見・ご質問を受けました (端的にまとめているため、実際の口調とは異なります)。数々の議論、ありがとうございました。
ご質問
- アニメチックなアバタとフォトリアルなアバタで効果はどれぐらい変わるのか?
- 相談意欲について、白衣を着たヒューマンアバタが実際的な意味として、どれぐらいの効果を持つのか?
- アバタの先に専門家がいるのであれば、(ユーザが) アバタに対して自己開示をし過ぎたことによる後悔が生じるのではないか?
- 相談者には専門家の存在を伝えないのか? (どこまで情報の共有をするのか)
- 画面の背景によっても影響があるのではないか?
- 自律型アバタに限らず、実際の医者が機械的なアバタを介して診療したら、同様の結果が得られると思うか?
- 患者に応じて、適したアバタを提供するという考えなのか?
- 実際のカウンセリング中にクライエントがどこに視線を向けているのか調べた研究はあるのか?
ご意見
- 学生なら学生服のアバタに対して相談しやすいなど、各年齢層で相談しやすい見た目が違うと感じた。また、これに関連する論文等があれば教えてほしい。
- 「VRはエンターテインメントの要素が強い」などの先入観を持った人に対して、どこまでVRを使用できるのかという問題を感じた。
- 安心感を感じるためには親しみやすさが関係してくると思う。
- アバタに対する感情だけではなく、心理的な悩みを相談しやすいシステムを作ることの大切さが分かった。
- VR機器を使用することが面倒だと感じる人もいるかもしれない。
- HMDはコストが高く、持っていない人もいるので、タブレットやスマートフォンを前提に進めているのが良いと思った。
- 家族でも友だちでもなく、一生会わないぐらいの人に対して話しやすいと思うので、アバタの存在はそういった関係性が良いのかと思った。